見どころ
2006年、韓国のインディペンデント映画界でもっとも注目を受けた映画「後悔なんてしない」。全く異なる環境で生まれ育った二人の男が、出会って恋に落ちる様子を瑞々しく描いたこの作品は、韓国ではタブーとされている同性愛を前面に描いたことでも話題を集め、韓国での公開時、全国9スクリーンで上映され1週間で動員1万人を突破、韓国インディペンデント映画界の一万人動員最短記録をうち立てた。
その後、こちらも韓国映画界では極めて稀だが、小規模公開でのロングラン上映を続け、熱狂的なファンを獲得しながら約50,000人を動員する異例のヒットとなった。
監督のイ=ソン・ヒイルは、これまでの短編作品でヴァンクーヴァーやクレモンフェランの映画祭を沸かし、批評家と観客の両方の支持を得てきた俊英で、本作「後悔なんてしない」は短編時代から描き続けてきたゲイの人生/悲哀のテーマを結集させた渾身の長編第一作。
ベルリン国際映画祭が気鋭の作品を集めて展開するパノラマ部門の正式出品作品に選ばれて国際的な注目を集め、本国韓国では映画監督たちが選ぶ「ディレクターズ・カット賞」で最優秀監督賞を受賞した。
主演のふたりを演じたイ・ヨンフンとイ・ハンは、映画ファンの間で社会現象とも化した「後悔なんてしない」ブームを受け、映画雑誌の表紙を飾るなど様々な取材に応じ(実生活でもゲイか? という質問を数多く受けながら)一躍“時の人”となった。
御曹司ジェミンを演じたイ・ハンはドラマ「恋人」などにも出演、日本でも放映を受けて人気が高まりつつある新進俳優。一方で、施設育ちのスミンを演じたイ・ヨンフンはこの役で韓国映画評論家協会賞の新人男優賞を受賞。次回作はタフな軍人を演じるスリラー『G.P 506』で主役を演じる予定。
ストーリー
地方の孤児院を巣立ったスミン(イ・ヨンフン)は、アート・デザインを学ぶべくソウルに出た。しかし生活のために掛け持ちのバイト生活に明け暮れる日々・・・そんなある夜、代行タクシーのバイトで雇われた客のジェミン(イ・ハン)がスミンを誘ってくる。見るからに育ちのよい身なりで送った先は、彼の自宅の高級マンションだった。
しばらくして不条理にもバイト先の工場をクビになったスミンは、その時初めて、あのジェミンが工場の経営者一家の御曹司であることを知る。やがてゲイ・バーの売春夫へと落ちぶれるスミン。そんなスミンを執拗に追い続けるジェミンだったが、スミンは工場の件での怒りから、素直に気持ちを受け止められなかった。しかしジェミンの真摯な愛情は次第にスミンのかたくなな気持ちをほどき、いつしかつかの間の激しい愛に溺れるようになるふたり・・・しかし幸せは長くは続かなかった。ジェミンは父の跡を継ぐさだめを背負う身、両親の推し進める結婚話はもはや止められない段階にきている。愛し合うふたりを分かつ格差の壁、差別の壁――思いつめていくふたりはそして・・・。
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